炭水化物は太るもと?ゲーマーは動かないから糖質制限をしたほうがいい?今回は気になる糖質とeスポーツの関係について。
身体を動かすエネルギー源となるものには、糖質、脂質、たんぱく質の3つがあり、これらは3大栄養素とも呼ばれています。エネルギーのとり過ぎは体脂肪の増加につながるので、ダイエットをしようとすると真っ先にカットされがちなのが糖質です。
糖質は抜いてもその分お肉や油ものはいくら食べてもいいだなんてご褒美もあったりして。ムチの痛さを大量のアメでカバーできちゃう。そんなお手軽さが人気の理由でしょうか。あとは何かを極端に減らすというミッションはストイック感が出るのも魅力なのかもしれません。
eスポーツと糖質制限ダイエット
脳の重要なエネルギー源は糖質です。私たちは運動しなくてもエネルギーを消費していて、そのうちの20%は脳で消費されています。重さは体重の約2パーセントであるにもかかわらず、多くのエネルギーを消費する脳。その上さらにアタマを使うeスポーツプレイヤーにとって過剰な糖質制限はNGなのです。
体脂肪を気にしている方は、まず脂質をとりすぎていないかのチェックから。肉の脂身や、バターなどの動物性の脂、揚げ物や炒め物など調理に使う油を控える。次に糖質をとりすぎていないかをチェックしましょう。主食をおかわりしすぎない、砂糖入りの飲み物やお菓子を控える。何かを極端に減らそうとする前に、バランスよく食べられているか振り返ってみることがダイエットの一番の近道です。
バランスよく食べるって何?はこちらをご覧ください
3大栄養素のエネルギーとしての特徴
糖質・脂質・たんぱく質はそれぞれエネルギーに変わるまでのスピードや熱量が違います。
糖質
1gあたり4kcalで、脂質やたんぱく質よりも素早くエネルギー源として使われるのが特徴。脳や筋肉などのエネルギー源として使われる大切な栄養素です。
脂質
1gあたり9kcalと少量で多くのエネルギーを得ることができますが、エネルギーとして使われるのには時間がかかります。エネルギー源として糖質が足りなくなると肝臓で脂質からケトン体をつくり出し、脳がエネルギー不足にならないよう調節されますが、いわば生きるための予備電池のようなもの。
たんぱく質
1gあたり4kcalのエネルギーがありますが、基本的には筋肉、皮膚、髪の毛、血液、ホルモンなど身体をつくるために必要なものです。このたんぱく質をエネルギーとして使わなくてはいけないレベルになるというのは、身を削って脳にエネルギーを送らなければならない非常事態です。
脳にとってサイコーのエネルギー源である糖質を摂取できるのに、わざわざ非常時の回路を使って生活するのは効率がいいとはいえませんよね。
糖質を制限しすぎるとどうなるか
糖質からのエネルギーが不足すると、集中力が切れる、ボーっとする、疲労がたまりやすくなるといったように、ゲームにモロに影響が出ます。また、糖質を多く含むごはんや麺や果物には、糖質だけでなく食物繊維も含まれているので、これらをすべてカットすると、たんぱく質や脂質に偏った食事になって腸内の悪玉菌が増えて、体調も乱れがちに。適度に主食や果物を食べましょう。
腸内環境は睡眠の質やメンタルと関係していることが明らかになってきました。これからはゲームの練習と同じくらい、おおなかの調子を整えることが、eスポーツプレイヤーにとって大事な戦略のひとつになると思います。
つづく
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著:キクタエリ
スポーツ栄養のプロ・アスリートフードマイスターとしての知識と経験を活かし、アスリートへの栄養、減量指導、フィットネスクラブでのダイエット監修、コラム執筆などで健康とパフォーマンス向上をサポート。APEX始めました。
出演:NKH「おはようニッポン」、TOKYO MX「おしえて ! 美bien!!!」、SHOW ROOM「東京パフォーマンスドール櫻井紗季ガチンコ金9道場!」
雑誌・WEB:KADOKAWA Walker Plus、Fuminners、THE TENNIS DAILY、Popteen、他。
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